その他の詐欺
詐欺にはあらゆる種類があり、同様の被害に見えても仕組みが違うものがいくつもあります。M資金詐欺
M資金詐欺とは、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)が旧日本軍から接収した資産(通称M資金)が、昭和26年のサンフランシスコ条約で日本に返金され戦後復興や賠償に費やされたが、まだ一部残っており社会的信用の高い企業や人物に、利息や返済を有利な条件で貸し出すという架空の資金融資話である。融資の手続きに、融資額の1%ほどの手数料を事前に振り込むように言われ、振り込んだ後、詐欺師たちは姿を消してしまう。
類例:融資詐欺、ODA還流資金詐欺、ナイジェリアの手紙詐欺、貸します詐欺など。
借金アルバイト詐欺(名貸し詐欺)
借金アルバイト詐欺とは、アルバイトにキャッシング用のカードを作らせ、そのカードで限度額一杯まで借りて、借金の返済はアルバイトに背負わせる詐欺です。
最初に、「キャッシングの融資条件の調査」と称してアルバイトを集め、キャッシング用のカードを作成して、キャッシングをしてもらうかわりにアルバイト料を払うのですが、あくまでも調査なのでキャッシングの返済や情報機関の訂正はこちらでやっておく、というのは嘘で、借金をした情報は金融機関に残りますし、返済義務は本人にあるため、アルバイトが自分で行う必要があります。詐欺師は渡したカードを使って限度額一杯まで借金をして行方をくらませます。またアルバイトは、アルバイト料を受け取っているため、単なる被害者とはなりにくく、金融機関への返済義務を怠ると、詐欺師と共同正犯(刑法60条)とみなされる可能性もあります。
アルバイト募集詐欺
アルバイト募集詐欺とは、アルバイト募集の広告を見て来た人に、バイトの登録料としてお金を取ったり、展示会の会場にアルバイトの仕事だと呼び出して、仕事の後バイト代を払う前に、自社商品の販売会(催眠商法)を開き、商品を購入させたりする詐欺です。
インターネットモニター詐欺
インターネットモニター詐欺とは、20万円相当する新機種のPCが、モニター登録料2万円を支払いアンケートに答えれば、自分の物になるという宣伝文句に釣られて、お金を支払うのですが、一向にPCは届かないという詐欺です。
裏口入学詐欺
裏口入学詐欺とは、受験を控えている子供がいる家庭の両親に、多額のお金を払えば校長や理事にコネがあるので、子供を入学させることが可能だと、裏口入学の斡旋をもちかけ、謝礼や寄付金などの名目で数百万から数千万円の金を騙し取り、行方をくらませてしまう。奇跡的に入学できる子供もいるだろうが、基本的に学力が低い子供が多いので、まず合格できず、不合格の通知ではじめて詐欺だと気がつく。
オーディション詐欺
オーディション詐欺とは、映画やTVドラマでヒロイン役、子役募集などと公募し、応募審査料を取るが、書類審査で全員落としてしまったり、また審査会場に呼び出して審査するものの、力不足を理由に、歌やダンスのレッスンを受けさせ、大したレッスン内容でないのに、高額の授業料を取る場合もあります。
共済組合詐欺
共済組合詐欺とは、共済組合という仕組みを使って、「郵便局よりも利回りが良く、且つ元本も保証される」などとふれこみ、その信用力を利用して、多くの人を組合員にして資金を集め、お金を騙し取る詐欺。
訴訟詐欺
訴訟詐欺とは、偽造した借用証書を用意して、それに署名と捺印をして、簡易裁判所に貸金返還訴訟をおこす詐欺である。この場合、裁判官も巻き込んだ詐欺であり、裁判で借用書の真偽を署名や印鑑などから確認すれば良いのだが、証拠書類偏重の傾向にある裁判官は、借りていない被告の言い分に耳を傾けず、返還するよう判決を出す傾向がある。
紹介屋詐欺
紹介屋詐欺とは、消費者金融などで借金をしすぎて借りれる金融業者がほとんどなくなった人に、それでも借金ができる金融業者を紹介する業者です。いかにも自分の所で貸すような広告を出しているのですが、うちでは貸せないが知り合いの金融業者を紹介するといって、紹介手数料を3~5割もとります。紹介先とは別に繋がりも無く、紹介されないでも貸せる業者を紹介するだけです。場合によっては、かなりの悪徳業者を紹介されるケースもあります。
スキミング詐欺
スキミング詐欺とは、スキマーという機械を使ってクレジットカードやキャッシュカードの磁気情報を読み取り、そのデータで偽造カードを作成して、勝手に商品を購入されたりキャッシングをしたり口座のお金を引き出したりする詐欺のことである。スキマー自体は手の平サイズの機械で、カードで買い物する場合にお店のカウンターの下で使われたら、確認するのはとても困難である。ただし、現在ではカードの暗証番号に関しては、カードの磁気情報に入っていないので、生年月日など判明しやすいものに設定していない限り、スキミングされてもお金の引き出しなどは未然に防げる場合がある。
匿名組合契約詐欺
匿名組合契約詐欺とは、匿名組合契約という契約を結ぶことで、実際に投資する商品を合法的に渡すことなく詐欺行為を行うことです。契約書の内容は、匿名組合が集めた資金でその商品に投資をして、増えた利益を分配する形であり、その匿名組合の投資判断などは、業務執行組合員のみが行うことができます。契約を結ぶほとんどの方が、匿名組合契約の内容を理解していない場合が多く、自分は直接その商品に投資しているものと思っていますが、実態は業務執行組合員に資金を預けて運用してもらう間接投資になります。つまり多くの契約書の内容では、例えば投資商品が金だとして、金の値段が上がって売却したいと思っても、業務執行組合員ではない自分は、勝手に投資商品を売ることができず、業務執行組合員が投資判断を間違えて損失を出した場合、その損失を投資した資金の範囲で補填しなければならない場合がほとんどです。
類例:ペーパー商法、現物まがい商法
公団入居申込代行屋詐欺
公団入居申込代行屋詐欺とは、公団住宅が民間の賃貸住宅に比べて家賃や広さなど有利な点を解説したハガキを郵便受けに投函します。公団住宅は申込みが多い場合は抽選になるのが普通ですが、このハガキで弊社に登録すると当選確率が格段にアップすると謳い、詳しい案内資料が欲しい人には、そのハガキに個人情報を書いてポストに返信するよう促します。ハガキに個人情報を書きポストに返信してしまうと、入居申込登録書という、返信したハガキに書いた個人情報が印刷された紙と、請求額39000円などの振込用紙が送られてきます。もちろん返信した人は、資料を請求しただけのつもりなのですが、支払わないと「もう公団入居希望者のデータベースに登録している。」「今更キャンセルできない。」「払わないつもりなら裁判に訴える。」と言ったことを、携帯電話や勤務先にしつこく電話してきます。会社への電話は周囲の目もあるのでコトを荒立てたくないと思い、約4万円ぐらいなら払ってしまおうと払ってしまう方もいます。まれに何の疑いも無く手数料を振り込んでしまう人もいますが、いくら待っても当選の知らせはありません。連絡しても「ご希望の公団住宅は倍率が高くて当選していません。」と言われるだけです。金額も低いので結局泣き寝入りになります。
海外宝くじ詐欺
海外宝くじ詐欺とは、イギリスやアメリカ、オーストラリア、香港など海外から海外の宝くじへの参加を呼びかけるDMが届き、海外の宝くじというと日本に比べて莫大な何十億という高額賞金があたるイメージがあるため、ついつい参加の申込書を送ってしまい、実際は購入してくれてなどいないにもかかわらず、毎月購入費用をクレジットカードから引き降ろされる詐欺である。中には毎月購入してくれていると信じてずっと当選を待っていたり、もっとたくさん宝くじを買って欲しいと、何百万円という資金を送金してしまう被害者もいる。また現在日本で海外の宝くじを購入すること自体が、刑法187条3項に該当し、20万円以下の罰金又は科料に処せられます。
文書偽造詐欺
文書偽造詐欺とは、公文書(国又は地方公共団体の機関、又は公務員がその職務上作成した文書)や有印私文書(契約書や領収書など、公文書以外の文書で印影があるもの)などを偽造することで他人の目を欺き、お金を騙し取る詐欺である。
金偽造詐欺
金偽造詐欺とは、金と比重が極めて近い金属であるタングステンを使い、タングステンの表面を純金で覆うことで、非常に精巧な金の延べ板を製造し、質屋などを騙す詐欺である。この精巧な金の延べ板は、X線鑑定機や表面の電気抵抗を調べる導電率計を使用しても、純金と判定されるようだ。ただし、流通している本物に比べ、表面が鏡のように光ったり、刻印がぼやけたりしている特徴があるという。
偽ダイヤモンド詐欺
偽ダイヤモンド詐欺とは、ダイヤモンドの類似石であるキュービックジルコニアやモアサナイトを使い、ダイヤモンドの偽造鑑定書を付けて騙す詐欺です。1カラット数百円しかしないキュービックジルコニアは屈折率がダイヤモンドと近く、分散率もダイヤモンドより高いため素人が見分けるのは難しく、精巧に作られたモアサナイトも素人が見分けることは困難を極めます。
その他の詐欺事例
複雑な詐欺を事例でわかりやすく紹介。M資金詐欺
小西社長は、父親から引き継いだ赤字経営の株式会社川崎スプリングを建て直すために必死だった。元銀行員で、コンサルタントの藤井のおかげで、当面の資金繰りは大丈夫な状態だったが、新製品の研究開発費には多額の資金が必要だった。ある日、小西は藤井に資金繰りのことで相談していたら、元財務省幹部の川原という人物を紹介された。マンダリンホテルのスカイロビーで会った際、川原は財務省で秘密裏に管理しているM資金の融資話を打ち明けた。小西は初めこそ半信半疑だったが、会社の窮状と川原の無理に勧めない態度、川崎スプリングの融資に今まで尽力してくれた藤井の恩師ということで、徐々に彼の話を信用していった。融資の審査に3ヶ月かかるとのことだったが、審査をパスすれば20億円の融資が低金利で長期間可能だということだった。小西は審査のために提出する会社の財務諸表を整理しながら、川原と打ち合わせを何度か重ねていったが、1つ困ったのは、融資の際に事前に審査費用、送金費用、事務手数料など、財務省の人件費が大半をしめる諸経費と融資信用保証金が合計で融資額の5%かかると言われたことだった。その額1億円にもなるが、創業年数が20年を越す川崎スプリングなら、8割は融資から1年後には返還されると言われたので、融資の審査をパスした後に、藤井の資金繰りのおかげで得た当面の資金を使って、小西は諸経費と融資信用保証金を支払った。その後1ヶ月後に融資されるという話だったが、2ヶ月を過ぎても一向に資金は振り込まれず、藤井と川原にも連絡がとれなくなり、その段階で小西は自分が詐欺にあったことに気がついた。
※上記の氏名や企業名などは全て仮名です。
借金アルバイト詐欺(名貸し詐欺)
青大学法学部2年生の竹内は、バイト情報のフリーペーパーにたった3時間程度で8000円も稼げるアルバイトの募集を見つけた。早速話しを聞きに行くと、オフィスビルの会議室のような所で、宮地という信用調査会社の社員から、消費者金融会社のカードを作って、実際にお金を借りることができるかどうかの調査のアルバイトだと説明を受けた。消費者金融会社が適切な審査をしているかどうかを調べたり、適正な金額を貸しているか、過剰に貸し過ぎたりしていないかを調査しているという。借りた情報は調査終了しだい金融機関の信用データベースから消去しておくし、借りた金額に関しても全額こちらで返済しておくというので、竹内は楽なアルバイトだと安心して10万円分キャッシングをしてしまい、カードは消費者金融会社に返しておくからというので、宮地に渡してしまった。2ヶ月後、突然借金の督促の連絡があり、自分の借金のデータが消えてなく、借金の総額も限度額の50万円になっており、宮地にだまされていたことに気がついた。
※上記の氏名や企業名などは全て仮名です。
アルバイト募集詐欺
松大学3年生の森田さんは、日給13000円のアルバイト募集の広告を見て電話をしたところ、すぐに採用になった。バイト当日、日本橋近辺の催事場で、高圧洗浄器の実演販売の補助スタッフとして働いた。会場はお客さんに対してやけにアルバイトスタッフが多く、仕事は楽なものだった。終了時間の5時になって、アルバイトスタッフがバイト料を支払うと言われて1箇所に集められると、バイト料を支払う前に、高圧洗浄器の実演販売が始まった。1時間ほどの説明の後、「欲しい人!」というかけ声に対して1~2人ずつ手が挙がり、別室に案内され、少したつと契約が終わったのか、バイト代らしき封筒を手に笑顔で出口から帰っていく。手を上げなかった人たちには、さらに実演販売が続き、バイト疲れから根気負けした森田さんは、次の「仮契約でも良いですよ。」の声につい手を挙げてしまった。字の小さい契約書を全部読む気力もないまま、バイト代をもらうために持ってきた銀行印を押して署名してしまい、銀行通帳も持っていたので、高圧洗浄器の24回払いのクレジット契約を結び、それが本契約だったことに気づいたのは、かなり日にちが経ってからのことだった。
類例:治験ボランティア募集詐欺、求人まがい商法など
※上記の氏名や企業名などは全て仮名です。
インターネットモニター詐欺
国際館大学4年の草間さんは、来年社会人になることもあり、自分の部屋の古いPCを新しい機種に買い換えたいと思っていた。たまたまインターネットの広告に、PCの最新機種のモニター募集の広告があったので、そのサイトにいき内容を読んでみた。モニター登録料に消費税、送料の合計25000円を払い、半年間企業のアンケートに答えるだけで、その後そのPCは自分の物になるらしい。サイトの募集要項を見ながら、個人情報を記入し、書いてある振込先に料金を支払うのだが、その後一向にPCは届かない。それどころか、怪しげなDMが郵便受けに入り始めてから、これは詐欺で、自分の個人情報が他の業者に流れていることに気がついたのだった。
※上記の氏名や企業名などは全て仮名です。
裏口入学詐欺
来年大学受験を控える息子、透の母親である由紀子は、なんとか透を青教大学に入れたいと考えていた。家庭教師に来てもらっている青教大学理工学部4年生の近藤に相談してみたが、近藤は透君の偏差値では、青教大学に合格するのは厳しいと言う。ただ方法がないわけではなく、同じ大学の非常勤講師の出口を紹介され、出口は学長とも親しいので、いくらか大学に寄付金を出せば、合格基準点を下げてくれる制度があるという。100万円につき約10点ぐらい全教科合計の合格基準点が下がるというので、なんとしても合格させたい由紀子は、900万円を寄付金として出口に渡すことにした。受験日1週間前に、出口から電話があり、学長に話を通してあるので、透君は90点分、合格基準点が他の受験生よりも下がっている。だから、まず確実に合格できるでしょうと太鼓判をもらった。合格発表日、由紀子は期待に胸を膨らませていたが、透君は不合格の通知を受け取った。どうしても気持ち的に納得できなかった由紀子は大学に確認の電話をした。そのとき出口という非常勤講師は在籍しておらず、理工学部4年には、同姓の別人の近藤しかいないことがわかった。
※上記の氏名や企業名などは全て仮名です。
オーディション詐欺
もうすぐ中学生になる娘をなんとか芸能界にデビューさせたいと思っていた紀子さんは、インターネットで映画出演、主題歌アーティストの新人ヴォーカルを募集しているサイトを見つけた。はじめは子役を考えていたが、歌手の可能性もあるかと思い、娘にオーディションを受けさせることにした。当日、六本木のビルの会場に行くと、マンションのCMや沖縄出身のアイドル歌手のPVも手がけているという、映画・CMディレクターの柏木という人物が出てきた。確かそのCMやPVは違う名前の人がやっているのではと言うと、もちろん彼と他のメンバー含め共同で仕事をしていますからという返答だった。娘は志望の動機など簡単な面接をし、その場で自分が得意な歌手の歌を歌い選考は終了した。帰り際、柏木が紀子さんに、娘さんはいい素質を持っているが、歌手としてはまだまだ歌唱力が足りない。自分が知ってる事務所のレッスン生になって、歌唱力を伸ばせば、歌手としての可能性も十分あると思うがどうだろうかと話しかけてきた。麻布で毎週1回の1年間のコースで、費用はボーカルレッスンのコースが50万円、ダンスレッスンのコースが50万円だという。紀子さんは迷ったが、歌って踊れるほうが娘さんの可能性が拡がる、今定員がいっぱいだが、将来有望な子のために自分が特別に1名分だけ枠をもらっているけど、この後のオーディションの有望な子に譲ってしまった際は申し訳ないと柏木に言われ、つい合計100万円分を振り込んでしまった。その後、今登録手続きをしているから、正式な入学日が決まったら連絡するという電話を最後に、連絡が一切取れなくなってしまった。
※上記の氏名や企業名などは全て仮名です。
共済組合詐欺
「共済組合」
社会保険の1つで、国家公務員や地方公務員や私立学校職員と、その被扶養者が加入する制度で、健康保険と年金保険の運営をしています。組合員の疾病、負傷、出産、死亡、休業若しくは災害又は被扶養者の疾病、負傷、出産、死亡若しくは災害に関しは、それぞれの共済組合が保険者となり給付が行われます。財源としては、組合員である職員が負担する掛金と、任命権者である国・地方公共団体等の負担金・掛金を財源としている。問題になりやすいのは、準拠する法律があり監督官庁が決まっている認可を受けている共済組合(JA共済など)ではなく、法律も監督官庁もない無認可の共済組合である。無認可の共済組合は、責任準備金制度やディスクロージャー制度、公的セーフティネットがなく、不特定多数を対象に共済事業を行っている場合は、保険業法違反となる可能性があります。
「オレンジ共済組合事件」元参議院議員の友部達夫が主犯となっておこした詐欺事件。オレンジ共済組合は1992年からオレンジスーパー定期という年利6~7%の配当をうたった金融商品によって、約90億円の資金を集めた。しかしその多くが政界工作費や借金返済、私的流用によって使われ、1996年には、組合は倒産し組合員にはほとんどお金は払われず、多数の被害者が出た。翌年、現職参議院議員時に参議院から逮捕許諾が出され逮捕された。友部は逮捕後も議員を辞職せず、無罪を主張したが、2001年に出資法違反容疑で最高裁で懲役10年の有罪が確定し失職した。
訴訟詐欺
2002年3月1日付の東京新聞によると、杉山治夫(63才、自称、闇金融の帝王)は借用書を偽造し、裁判所を利用して被害者から金を巻き上げていた。犯行の手口としては簡単で、杉山が社長を務める金融会社「日本百貨通信販売」(東京新宿区)が金を貸したという内容の借用書に、借主の住所、氏名を書き込み、印鑑を押す。この借用書を証拠として、簡易裁判所に貸金返還請求訴訟を起こす。借主として訴えられた人は、借りた覚えがないから裁判所からの呼出状を受けても放置し、欠席裁判で敗訴し、給料を差し押さえられていた。また、出席したとしても、借用書に署名と押印があるので、裁判官に借主の言い分を聞いてもらえなかった。杉山は2年間で500件もの訴訟を提起していた。
紹介屋詐欺
広田正志は、消費者金融での借金が350万円を越え、返済が苦しい日々を送っていた。新規で借りようと思っても断られることも多く、そんな時に新聞折込に入っていた融資のチラシを見つけた。チラシには「担保・保証人不要」「簡単審査・即日口座へ振込み」「100万円から金利7~9.8%」と、とても好条件なうたい文句が並ぶ。広田は早速、チラシの会社に電話して借りれるか聞いてみることにした。広田は電話口で出た男に言われ、「簡単な審査するので、名前から言ってください。」と一通りの個人情報を伝えた。しばらくしてから、電話があり、「残念ながら審査基準に満たないのでうちでは貸せない。けれども、貸せる所を紹介することならできるがどうしますか?」と打診された。広田は手数料が借りれた金額の3割と言われ一瞬迷ったが、藁にもすがる思いで、貸せる金融業者を紹介してもらい、紹介してくれた業者に紹介料を振り込んだ。紹介されなくても、借りれたことも知らずに・・・。
※上記の氏名や企業名などは全て仮名です。
スキミング詐欺
群馬県や神奈川県にある名門レイクウッドゴルフクラブで、スキミング詐欺事件が発覚した。名門日大ゴルフ部で丸山茂樹プロの先輩にあたる遠山秀樹容疑者は、当時同ゴルフ場の富岡コース支配人だった。主犯格の藤原高広容疑者と組み、ゴルフ場の貴重品ボックスをマスターキーで明け、利用客の財布からキャッシュカードを取り出しスキマーで磁気データを盗み、キャッシュカードを偽造していた。利用客の大半は、キャッシュカードの暗証番号と貴重品ボックスの暗証番号を同じにしていたので、ATMでお金を引き出されていた。被害は系列4ゴルフ場でもおこり合計約130件、被害総額は約3億円にものぼる。
匿名組合契約詐欺
長田治さんは、友人の紹介で金融コンサルタントの窪塚という人に会い、近々上場予定のネットバンクの未公開株が特別なルートで回ってきたので購入しませんかという誘いを受けた。そのネットバンク自体は長田さんも知っている有名な会社で、上場の噂もちらほら聞いていた。窪塚は下手すると1株80万円ぐらいになる可能性もありますよと言うので、ついつい1株50万円で10株購入することに同意した。すると窪塚は、株券を出すのかと思いきや、匿名組合契約書というのを取り出し、「まだ株券には譲渡制限がついていますので、お渡しできないんですよ。」と言う。「でも、この契約書で組合員になっていれば、上場する際に組合の方でタイミング良く売却して、利益をつけてお返しできますから大丈夫ですよ。」というので、長田さんは契約することにした。その後、そろそろそのネットバンクが上場しそうで譲渡制限がとれたという情報を聞きつけたので、窪塚さんに電話をすると、「ええ今、匿名投資組合名義への変更手続きに入ってますので大丈夫ですよ。上場の際には、こちらで良いタイミングで売却しますので。」と言う。「あれ?譲渡制限がはずれれば、私に渡せるんじゃないんですか?」「いえいえ、匿名投資組合名義にできるということですよ。組合の方で上場した際に売却して利益を確保しますので心配いりませんよ。」。長田さんはなんとなく納得いかなかったが、しぶしぶ承諾するしかなかった。そしていよいよ、ネットバンクの上場が正式に決定し、初値が1株60万円となった。その後も株価は80万円まで上がり、急いで窪塚さんに何度も連絡したが連絡がつかなかった。その直後、一転株価は下落し始め、20万円まで落ちてしまった。ようやく連絡がとれたとき窪塚さんは「申し訳ない。80万円の時に売りが殺到してて、結局売却できたのがついさっきなんですよ。匿名組合の2年間の運営維持費用と売買手数料分の50万円を差し引いて、後ほど売却代金を150万円を振り込みますので少々お待ちください。」結局、長田さんは500万円かけて、350万円の損失を出しただけであった。150万円返金されただけでも運の良い方なのだが。
※上記の氏名や企業名などは全て仮名です。
文章偽造詐欺
岡山県岡山市の紙製品販売会社「伊豫商事」(破産手続き中)の専務大島敏昭らの納税証明書偽造に関する有印公文書偽造・同行使について岡山地裁で罪状認否があり、大島被告ら3人は起訴事実を認めた。大島被告らは伊豫商事の法人税納税証明書を偽造し、2005年7月岡山市で融資申込先の金融機関に提出し、全国農業協同組合連合会の債務保証書を使い、金融機関から融資金35億円を騙し取った。大島被告らは、同様の手口で別の金融機関からも50億円を詐取。伊豫商事は複数金融機関から合計400億円以上の融資を受け、大半が回収不能となり破産手続き中である。関連会社「大喜」社長の西田嘉幸容疑者も同容疑で逮捕されている。
金偽造詐欺
2007年6月4日大阪府警は、ニセの金の延べ板を質入れし、約600万円を騙し取ったとして、貴金属ブローカーの牧茂男(56)(荒川区)、宝石加工業の韓国人趙炳変(54)(台東区)ら容疑者6名を詐欺や同幇助容疑で逮捕した。同容疑者らが都内で製造していたニセの延べ板は科学的な鑑定でも見破れなかったほど精巧なもので、昨年以降大阪府内だけで10数件、1000万円以上にのぼるという。大阪府警によると、ニセの延べ板は、金と比重が似通った希少金属タングステンを純金で覆い、スイス銀行製を意味する英文字や1本ずつ異なる製造番号が刻まれていたという。
偽ダイヤモンド詐欺
2007年8月に南アフリカの鉱山で約7500カラットにもおよぶ巨大なダイヤモンドの原石が発見された。これまでの最大のダイヤの約2倍で、本物であれば1500万ポンド(約36億円)相当の物であるという。しかし約1ヵ月半にわたる鑑定の結果、樹脂製の偽物であることが判明した。南アフリカの地元紙によると、ダイヤはこぶしほどの大きさで、実業家のブレット・ジョリー氏が発見を公表していた。ジョリー氏は鉱山関係者の男性からダイヤの採掘権付き農場の購入を持ちかけられていたが、その土地からダイヤの採掘の可能性は低いという専門家の助言から購入を渋っていたところ、その男性がダイヤを持ち込んだという。詐欺事件として警察が捜査中である。