民事調停
民事調停は裁判所で行う第三者を入れた話し合いの事です。ここで言う「第三者」とは、調停委員2名と裁判官です。
この話し合いで合意した内容は「調停調書」といって、裁判判決同等の強制力があります。ですから、もしも合意内容に従わない場合、強制執行を行うことができます。
詳しくは裁判所HP
http://www.courts.go.jp/saiban/syurui/minzi/minzi_04_02_10.html
民事調停の詳細説明
民事調停とは、民事訴訟と並ぶ紛争解決の手続の一つで、民事に関する争いについて裁判官と2名以上の調停委員からなる調停委員会が当事者双方の言い分を聴き、法的な評価をもとに、当事者の合意による解決を図る制度です。
民事調停の特徴は、訴訟では裁判官が双方の言い分を聴き、証拠を調べ、どちらの言い分が正しいかを裁判官が決定するのに対し、調停では当事者同士の話合いでの合意により解決を図ることを目的としている点です。
話合いで円満に解決することができれば将来的に付き合いを継続したい相手にも有効な手続になります。
また、訴訟に比べ手続が簡易であり費用も安く、非公開で行われます。調停委員会は紛争解決にあたり、幅広い知識と経験が必要で、話合いが専門分野に及ぶ場合には専門的知識を有する調停委員が意見を述べることもあります。
さらに、民事調停で当事者間に合意が成立した内容を記載した調停調書は判決と同様の効果を持ちます。よって、相手がもし調停後に金銭の支払いを拒否した場合には強制執行をすることも可能になります。
調停は当事者同士がお互いの言い分を受け入れられそうな状況である、あるいは、大した争いごとではないので金銭的にも負担をかけずに解決したい、争いごとの内容を他人に知られたくない、時間をかけずに解決したい等の理由があるときに向いています。
民事調停委員会とは、裁判官の中から選ばれる調停主任と、弁護士となる資格を有する者、民事紛争の解決に有用な専門的知識経験を有する者、社会生活のうえで豊富な経験を有する者で人格識見の高い40歳から70歳未満の人の中から最高裁判所が任命した調停委員2名以上で組織されています。
弁護士や医師、大学教授から、定年退職後のサラリーマンや主婦など様々な経験を持ったものが任命されています。
民事調停委員は直接民事調を担当するほかに、担当以外の民事調停について専門的意見を述べることもあります。
裁判官が認めたときには、裁判官だけで調停を行う場合もあります。ただし、当事者が民事調停委員を望む場合は民事調停委員会で調停を行わなければなりません。
民事調停の手続は、申立てをすると調停委員会が調停を行う期日を決め、関係者に呼出状が通知されます。調停期日に調停委員会が当事者の話を聴き、当事者の間に入り相手の言い分との調整を図ります。当事者同士が同意に至ると調停成立となり、調停調書が作成されます。
合意に至らなかった場合や、相手が調停期日に出頭しなかった場合は調停不成立となり、その場合は訴訟手続をとることができます。また、利害関係があれば、許可を得ることで調停の当事者でない第三者が調停に参加することも可能です。さらに、第三者が調停参加を望んでいないとしても調停委員会が認めた場合は調停への参加を命じることもできます。
民事調停を申立てる際に注意する点は、原則として相手の住所地を管轄する簡易裁判所に申立てなければならない事です。ただし、当事者間でどの裁判所で調停を行うという合意がある等の場合は例外となります。
民事調停申立書の記載事項
当事者の表示
申立の趣旨
紛争の要点
作成年月日
裁判所の表示
民事調停申立の必要書類等
民事調停申立書(入手先:裁判所)
証拠書類
資格証明書(当事者が法人の場合)
戸籍謄本(当事者が未成年の場合)
収入印紙(訴額によって異なります。)
民事調停手続の流れ
管轄裁判所に民事調停申立書と添付書類を提出する。
裁判所から調停期日の通知がなされる。
調停期日に裁判所に出頭する。
調停委員会が間に入り話合いをする。
調停成立で調停調書作成又は調停不成立。
調停の基本的な考え方
民事調停は裁判所で行われます。民事調停は、裁判官と一般市民から選ばれた調停委員2名以上が作る調停委員会が当事者の話を聞き、トラブルについて話し合うという場です。特に法律の制約に基づく必要はないという方針が多く、柔軟に解決案を導き出す事が出来ます。
申立て自体も比較的簡単であり、裁判所HP(上記のURL)から雛形(ひながた・フォーマット)をプリントアウトして使う事もできます。
ただし、やはり裁判所で行う事ですから、何を争いたいか、相手には違法性はあるかなど、しっかりと把握する必要があります。(把握していなければ、きちんとした主張はできません。)ですから、こうした手続が不安な方は、特に弁護士さんや法務に強い調査会社などで証拠を整理するなど、プロに一任する必要があるでしょう。
調停の注意点
調停について、調整が無事完了し、当事者同士の一種の和解が整えば、「調停調書」が作成されます。ここに書かれたことは、基本的に確定判決と同等の強制力があるので、金銭的な賠償などは相手が守らない場合は、強制執行(差押)が行えます。
普通の当事者同士の契約書だけでは、強制執行(差押)はできませんから、そうした意味で裁判所の調停調書や判決は強力なのです。
さて、調停についての注意点といえば、相手が自由に出席しないという方針を取ることができるということです。また、調停中であっても、相手は「応じない。」という方針を取る事が出来ます。一般的な裁判でこうした事が起きると、裁判は中止されず、反論しないという事は認めたということだからというように有利な判決が出ることが多いのですが、調停の場合は、「不調」といって、その時点で話し合いは終わってしまいます。
ですから、悪質な相手の場合、「調停を不調にしてくる。」場合がありますので、調停を申し立てる場合は、前後の状況をよく考えて行う必要があります。