プロの視点「根本的な問題を考えよう」
投資詐欺の場合
投資詐欺の多くは、無許可営業です。投資を誰かの代わりに行う場合やお金を預かる場合、基本的には金融庁や財務局の登録が必要です。特に登録が無くても問題の無いケースもありますが、こうした登録が必要という要件があれば、そこに根本的な問題が生じます。
所在地に存在しない
詐欺会社の多くは所在地に存在しません。それなのに、とても儲けているような話が飛び交います。ちょっと考えてみればわかるとおり、儲かっているなら立派なビルの一室でも借りれるでしょうし、自社ビルだってもてるでしょう、それがないという事は、もしも詐欺だと騒がれた場合、すぐに逃亡できるようにしているとしか考えられません。所在地に存在しない企業ほど、信頼できないものは無いのです。
また、中には電話をしたから繋がったから、安心したという方もいますが、電話は秘書センターや電話代行業もありますから、受付のみをしてくれる全く別の会社に電話をしているかもしれませんし、転送機能で別の場所で受けている可能性もあります。
つまり、自分の目で見て、聞いて、よく考えて答えが出るまで、安心はできないのです。根本的に何を信じるのか、これは論理的に考察しなければなりません。
何も知らない
名前も住所もでたらめ、知っているのは誰の名義か知れない携帯電話番号とフリーメールアドレスのみというケースもあります。何も知らないというケースは、騙された本人の過失が認定されやすいとも言えます。何も知らない相手に例えばお金を貸し、しかも借用書すら取らないというのは、その行為自体に根本的な問題があります。もしも、ここを問題として捉えないなら、そのお金はあげた(贈与した)ものと考えるのが妥当と言えます。
根本的問題を考える癖をつけるヒント
根本的な問題を考える事が苦手な人は、常にインターネットに接続できる環境を持ち歩く事がひとつの有効な手法と言えます。携帯電話でもネットブックでも構いませんから、インターネットを整備できる環境を持ち、わからないことは全て調べてみる癖をつけましょう、それだけで、だいぶ根本的問題に気付けるはずです。
しかし、中には、何を調べれば良いかわからないという方もいるでしょう。その答えは小学生や中学生の時にならった基本構成「5W1H」にあります。「what(なに)」「who(だれ)」「where(どこ)」「why(なぜ)」「when(いつ)」「how(どのように)」これをひとつのキーワードを考える際のヒントにします。
例えば、連帯保証人になってくれと言われた場合でも、
「when(いつ)」「今日」
「where(どこ)」「呼び出された喫茶店で」
「who(だれ)」「A君から」
「what(なに)」「how(どのように)」「借金を申し出られた後、無理だと言ったら、借用書の保証人になってと言われた。」
「why(なぜ)」「多分、頼る人が私しかいないから」
と状況を分析します。
きっと、A君は自分が返せないときにだけだから、きちんと返すから安心して欲しいということを必死で説明するでしょうが、もしもインターネット接続環境を持っているなら「連帯保証人」をキーワードが気になるはずです。
では、yahooやgoogleなどに代表される検索窓に「連帯保証人」と打ち込み調べてみましょう。そして、「5W1H」を思考の基本にします。きっと、「連帯保証人には、検索の抗弁権がなく・・・」といった事例が出てくるはずです。
つまり、簡潔に連帯保証人について説明をすると、お金を貸した側はお金を借りた本人にも連帯保証人にも、どっちにも請求できるということで、A君が説明するように、もしもA君が支払えなくなったら責任が及ぶわけではないのです。ですから、連帯保証人になると、A君が返そうが返すまいが、自分のところに請求が来た場合、支払わなければならなくなってしまいます。ここで、すでに嘘が見つかりました。
詐欺師の適当なロジックに騙されない有効な方法は他にもたくさんありますが、「調べる環境を持つ」「正確な基本思考方法を身につける」だけで、多くの詐欺は防げます。