プロの視点(基本編)
詐欺を解決していくために、必要な要素とは、まず、第三者に理解できるように事実のみをシンプルに伝える事です。伝えるための技術
「騙された!」「普通に考えておかしいと思うでしょ!」と言いたい気持ちを抑え、どのように騙されたのかという事実と誰にいつ騙されたのかという事実を、明確にする必要があります。例えば、詐欺師が報告してきた情報のみという場合、そのほとんどはいい加減な情報が多く、不正確な情報に基づいた展開は誤った判断を促しやすいのです。そして、主観的な発想(私の常識では、これで間違いない!とか、私の予測では、絶対こうです!)というものは、事実を把握しようとする第三者には、判断を鈍らせる情報になり得ます。ですから、まずは、事実のみの整理を行い、その時の心情などは別に記載するなどして、騙された経緯などを整理しましょう。
5W1H
5W1Hとは、
「いつ(when)」
「どこで(where) 」
「だれが(who)」
「なにを(what)」
「なぜ(why)」
「どのように(how)」
で話を明確に構成する方法です。この方法を使って、話をまとめていくことが望ましいと考えられています。
時系列
話を相手(第三者)にする場合は、時系列に従って話していくことが望ましいです。例えば、一昨年の話をして、次に詐欺師と出合ったとき(3年前)の話をして、今年の出来事の話をして、昨年の話をするというように、時系列が滅茶苦茶だと、聞いている第三者は、その時系列を整理する事に時間を費やし、何が問題なのかという部分を即座に考える事ができなくなってしまいます。
書面や資料を用意する
書面や資料は、例えば騙される過程の中で、数回詐欺師から発行されていることがありますので、そうした資料は捨てずに保管し、相談する第三者に提示する事が望ましいと考えられます。
都合の悪い事を隠さない!
相談者の中には、自らに都合の悪い事実を言わなかったり、嘘をついて隠すケースがあります。こうした場合、当初予定されていた対策や手続が、行えない状態になる事があります。都合が悪くても事実は伝える事
守秘義務がきちんとあるか確認し、相談をする第三者の人物を信頼できると思うのであれば、都合の悪い事実を伝えても問題はないと思います。たとえ、都合が悪いと思われる事実でも、第三者が聞けば、別段都合が悪いとも思われないこともありますから、事実は事実として正確に伝えてください。
感情的にならないこと
騙されたという話をする間、何を思い出したのか、突然、怒り出す人がいます。こうした相談者は、相談を聞く第三者にとっては迷惑極まりないと言えます。また、相談メールが話し口調であったり、絵文字が多用してあったりすると、相談自体がきちんと行われているのか疑問に思う場合もあります。
合法的な解決を目指すこと
合法的な解決を目指すことは当然ですが、何の権限もない人物に委任状を発行したりする方が多くいます。弁護士法72条では、法律事務は弁護士のみが行うとあり、報酬を伴って非弁護士が法律書面を作成することは許されていません。例えば、取立てを弁護士ではない人物で、何ら権限を有しない一般個人に依頼したとして、その人物が脅迫などを用いて、取り立てれば、それを依頼した人も共犯とみなされます。そんなことになれば、そもそもの債権が水の泡になってしまうでしょう。
生兵法にならないように
探偵に調査を依頼すれば、費用がかかります。弁護士に訴訟を依頼すれば、費用がかかります。プロにはプロの方法がありますが、それと同等に技術や知識を身につけようとすれば、数年かかることは当然です。特に詐欺は、被害にあった時点で罠が張り巡らされている状態であり、プロから見ても難解と言えるケースが多いのです。素人の生兵法になってしまわぬように、自分でできないことは、費用がかかっても、プロに相談するべきです。