公示送達
公示送達の概要
公示送達とは裁判の被告となる相手側の住所、居所、勤務先など行方が不明で送達をするべき場所が分からなく、訴状を送達することができない場合に、相手側の最後の住所地の管轄の裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付するべき旨を裁判所の掲示板に掲示して相手側に訴状が届いたとすることができる制度である。
裁判所に掲示した日から2週間が経過することで効力が生じる。この期間を短縮することはできない。
その後、相手側が裁判に欠席した場合でも判決を受けることができる。その場合、相手側は反論がないとみなされ、ほぼ全面的に原告側の主張が受け入れられる判決となり、相手側は原則判決の効力を争えなくなる。
ただし、少額訴訟、支払督促は公示送達によることができない。また、相手から金銭の取立てを予定する場合は、公示送達により判決を得たとしても相手の行方が知れないため、直接的な金銭の取立ては困難である。
公示送達を行うには、公示送達申立てを行い、送達場所が不明である事の証明をする必要がある。書類は相手の住人票、不在証明書、相手の戸籍附票、調査報告書等が必要となる。
相手の住所を知りながら住所不明と偽った場合や、相手の居所を知り得ることができる状態であったにも関わらず、調査が不十分で公示送達を行った場合は、判決が出た後でも上訴が可能になる場合があるので、正確な調査が必須になる。
公示送達を勧める事例
資産は判っているが、相手が支払いに応じず、送達が届かない場合
下記のいずれも当てはまる場合はお勧めします。
1、資産の詳細が判明している。
2、裁判を行う。
3、相手の居所がわからない。(住民票上の住所に住んでいない。)
4、債権関係がわかる書類を持っている。(主に借用書)
公示送達の行い方
公示送達は、通常、弁護士さんに訴訟代理をしてもらってから行います。あまり一般の方が行う方法ではありません。
通常訴訟を前提として。
- 公示送達申立書を作成する。(入手先:裁判所、裁判所HP)
- 被告の住民票もしくは不在住証明書を入手(入手先:管轄市町村役場)
- 被告の戸籍の附票(入手先:管轄市町村役場)
- 所在調査報告書(入手先:ひな型は裁判所HPなど)
・注意:住民票の管轄は被告の住所地、戸籍は被告の本籍地の役場になります。
・注意:詳しい方法は係属している裁判所の書記官などに聞くことをお勧めします。
・必ず、債権関係を示せる書類を持参してください。
裁判をやる方のための手続「公示送達」
公示送達は裁判をやるための「訴状など」を送達する手続ですから、裁判をやらない方は利用できません。(民事訴訟)