詐欺の二次被害について
詐欺被害が注目されるようになり、違法業者や二次被害を目的とした詐欺師による被害が多く報告されています。通常、詐欺事案の解決に関与する専門業者
詐欺に関して、関与することの多い専門業者は下記の通りです。
・弁護士
・調査会社(探偵)
・司法書士、行政書士
弁護士の場合、訴訟や交渉などを行います。調査会社(探偵)のは、詐欺師の居所や詐欺の立証証拠の収集、差し押さえなど執行に関する調査を行います。
司法書士や行政書士は、内容証明郵便による通知や業法上の範疇での法律行為を行います。
こうした専門家が複雑な詐欺事案を解決に導くために様々な立証や手続を行うのですが、それぞれが業法によってその範囲が決まっています。ですので、詐欺解決に向けては、被害者自身が持つ証拠などで抜けている部分や知識面や技術面で足りない要素を補強してもらったり、委任したりするのです。
弁護士法
詐欺解決WEBでは、詐欺被害に関しての返金などは、訴訟等を予定して弁護士さんに依頼をするようにアドバイスしています。特に、法律事務に関しては、弁護士法によって弁護士以外がそれらを業務として行うことは犯罪行為となります。(業法で認められた法律事務は犯罪とはなりません。)
弁護士法第72条
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
弁護士法第73条
何人も、他人の権利を譲り受けて、訴訟、調停、和解その他の手段によつて、その権利の実行をすることを業とすることができない。
弁護士法第77条
次の各号のいずれかに該当する者は、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。
1.第27条(第30条の21において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
2.第28条(第30条の21において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
3.第72条の規定に違反した者
4.第73条の規定に違反した者
上記のように、原告適格などがある当事者や一部士業法等で認められた専門家を除いて、弁護士以外が法律事務を行うと処罰の対象となるのです。特に法律事務という表現は、一般には曖昧であって、イメージが難しいのですが、例えば「返金交渉」も事実書面の取り交わしなどが含まれれば、法律事務に当たりますし、交渉自体が法律事務に当たると考えられるものもあります。主には訴訟や調停などはそのもの自体が法律事務に当たりますが、それ以外の非訴訟でも法律事務に当たるものがあるという認識は持っておく必要があります。
○×法律××事務所などの表記について
弁護士法では、法律事務所や弁護士の表記について下記のような条文があります。
弁護士法第74条
弁護士又は弁護士法人でない者は、弁護士又は法律事務所の標示又は記載をしてはならない。
2 弁護士でない者は、利益を得る目的で、法律相談その他法律事務を取り扱う旨の標示又は記載をしてはならない。
3 弁護士法人でない者は、その名称中に弁護士法人又はこれに類似する名称を用いてはならない。
過去に消費者センターと誤信させる表記が問題になったことがございますが、「法律事務所」と類似する名称表記は弁護士法74条の3(類似名称)に抵触する恐れのある表示とも考察が出来ます。
故意に、「消費者センター」や「法律事務所」であるように消費者に誤信させる目的で類似する表記をしている場合、事後のトラブルに発展する恐れもありますので、消費者の方は十分な注意が必要であろうと思われます。
探偵事務所の問題
探偵事務所においては、その業務の範疇から「調査のみ」を主体とすることのみであり、返金問題に関して何らの手続きを行うことや代理で何らかの事務を行うことは、前述の通り、弁護士法違反となる可能性が極めて高く、誤信による依頼からトラブルに発展するケースが多く報告されています。
本サイト「詐欺解決WEB」はT.I.U.総合探偵社が運営しておりますが、当社においては、法律事務に関しては当事者で行っていただくか、信頼できる法律事務所を無償で紹介しています。これは、相談段階から徹底してご説明差し上げているので、当社においてはこのようなトラブルはございません。無論、この法律事務所(弁護士)の紹介に関しては、信頼関係のみで紹介を行いますから、金銭が介在する事はありません。
また、簡易な手続の場合は、裁判所ホームページのて手続ガイドで詳しく紹介されていますので、簡易な手続は一般の方でも独自行う事が可能であることは、クライアント様の多くが実証されています。
未公開株詐欺におけるマッチポンプ型二次被害詐欺
2010年3月現在、未公開株詐欺の被害者が二次被害を被るケースが多数報告されています。調査会社から勧誘営業の電話があったケース
未公開株詐欺の被害者Aさんは、探偵業登録をしているという調査会社から、「今、返金に応じさせているから、依頼料を払えば返金をさせてやる。」といった主旨の勧誘営業の電話があり、それに従って、指定された振込先にお金を振り込みましたが、その後、何の連絡もなく、二次被害に遭ったのだと悟ったそうです。
このケースでは、探偵業者が行う事が義務付けられている重要事項説明等がありません。探偵業者は、平成19年6月施行の「探偵業の業務の適正化に関する法律」いわゆる「探偵業法」にある第7条、第8条の書面交付を行わなければなりません。
探偵業法第7条
探偵業者は、依頼者と探偵業務を行う契約を締結しようとするときは、当該依頼者から、当該探偵業務に係る調査の結果を犯罪行為、違法な差別的取扱いその他の違法な行為のために用いない旨を示す書面の交付を受けなければならない。
探偵業法第8条
探偵業者は、依頼者と探偵業務を行う契約を締結しようとするときは、あらかじめ、当該依頼者に対し、次に掲げる事項について書面を交付して説明しなければならない。
一 探偵業者の商号、名称又は氏名及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
二 第四条第三項の書面に記載されている事項
三 探偵業務を行うに当たっては、個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)その他の法令を遵守するものであること。
四 第十条に規定する事項
五 提供することができる探偵業務の内容
六 探偵業務の委託に関する事項
七 探偵業務の対価その他の当該探偵業務の依頼者が支払わなければならない金銭の概算額及び支払時期
八 契約の解除に関する事項
九 探偵業務に関して作成し、又は取得した資料の処分に関する事項
2 探偵業者は、依頼者と探偵業務を行う契約を締結したときは、遅滞なく、次に掲げる事項について当該契約の内容を明らかにする書面を当該依頼者に交付しなければならない。
一 探偵業者の商号、名称又は氏名及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
二 探偵業務を行う契約の締結を担当した者の氏名及び契約年月日
三 探偵業務に係る調査の内容、期間及び方法
四 探偵業務に係る調査の結果の報告の方法及び期限
五 探偵業務の委託に関する定めがあるときは、その内容
六 探偵業務の対価その他の当該探偵業務の依頼者が支払わなければならない金銭の額並びにその支払の時期及び方法
七 契約の解除に関する定めがあるときは、その内容
八 探偵業務に関して作成し、又は取得した資料の処分に関する定めがあるときは、その内容
上記の手続を行わない場合は、下記のような罰則があります。
探偵業法第19条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
三 第八条第一項若しくは第二項の規定に違反して書面を交付せず、又はこれらの規定に規定する事項を記載しない書面若しくは虚偽の記載のある書面を交付した者
その他に、このケースでは、幾つかの疑問があります。
・なぜ、Aさんが依頼や相談をしていないのに、業者はAさんが被害者であることがわかったのか?
もちろん、探偵業者は相応の調査能力がありますから、相手となる未公開株業者の主要人物や会社であればその存在や概要を把握するでしょう。場合によっては、お金の流れや取引に関しての詳細も掴む場合もあります。ところが、資料等の性質で、相手となる未公開株業者のみが専属して保有する書面やデータは、その未公開株業者に社員として入社する等しない限り、収集する事は不可能な類となる情報です。
つまり、特殊な調査を用いても、早々簡単に収集できる類の情報ではないのです。また、それを収集したとしても被害者の会でも作らない限り、意味を成さない証拠となります。
被害者の会は主に当事者か弁護士が形成していくものですから、特に取り決めはありませんが、このデータを持って連絡してくるという事自体が調査業者としてはあり得ない手法であるといえるのです。
・弁護士でも無いのに、なぜ取り返せると言えるのか?
前述から紹介しておりますが、弁護士法72条に代表される非弁行為は、犯罪です。ですから、調査業者は法律事務を行うことはありません。すると、取り返せる事を根拠に依頼となると、これ自体は非弁行為を内在したとの考えられます。ゆえに、探偵業者は、調査をする事を根拠に依頼を勧めるに留まるのです。
Aさんの件では、既にマッチポンプ型の二次被害であると認知されています。簡単に申せば、「詐欺業者」が騙されやすい本被害者を狙って振り込め詐欺的な手法で二次被害を発生させたものです。
これ以外にも、ダイレクトメールで案内が来たケースや悪質な探偵業者にお金を騙し取られたケースが報告されています。この悪質業者は司法や警察・消費者行政でも、一部の業者に集中して被害が寄せられているとのことです。
詐欺案件に着手を始めた調査業者の一部は、「返金ができる」ということを喧伝していますが、これ自体は、その根拠が欠如した過大な広告であると推定できます。しかし、一般の消費者の方は、法務上の関わり等を知る由もありませんから、返金させてもらえると思って契約を行ってしまいます。既に二次被害に遭われている方はもちろん、詐欺本来の被害に遭われている方は痛感していると思いますが、一度支払った金銭を取り戻すことは、支払う苦労の何百倍何千倍の労力を要します。また、それにかかる費用も相当金額かかると言えます。
ここまでの流れだと、探偵業者に依頼する事は損をするように感じられる方も多くいると思いますが、それは悪質業者に依頼をしてしまった場合やマッチポンプ型の詐欺業者に依頼をしてしまった場合に限ります。
証拠が無いと何もできない現実
裁判や当事者交渉、また第三者への説明等、身内や友人なら証拠がなくても、被害の話を親身に聞いてくれるでしょうが、それが見ず知らずの第三者となると話は変わってきます。
例えば、裁判の場合、立証不足は、敗訴の大きな原因となります。また、相手がどこの誰だかわからない場合は、送達ができず、訴訟が出来ないというケースもあります。もちろん、公示送達や付郵便というものもありますが、それも、前提となっている相手(被告)の住所や宛名等があり、そこに居ないために主には行われるものです。
ですから、その存在確認や詐欺自体の立証には、調査を専門とするプロの技術が有効であるのです。
さらに、仮に民事訴訟で勝訴をしたとして、判決が確定したから、相手が支払うに決まっているというのは大きな間違いです。
ほとんどの詐欺師は、判決を無視します。
そして、「取れるなら取ってみろ。」となるわけです。こうなると、強制執行手続を行う必要がありますが、原告(被害者)は被告(加害者・詐欺師)の財産を目録で作成しなければ執行ができません。
もちろん、裁判所はそれを調べてはくれませんし、弁護士さんも調べてはくれないでしょう。詐欺師は差押えられやすい財産は、およそ事前に他へ移してしまっていますから、既存の財産には、ほぼ財産は残っていないと予測した方が無難です。すると、確定判決を苦労して得たのに、何もできないという事態が発生します。こうした場合、そうした分野に強い探偵業者等が調査をすると、詐欺師が隠匿した財産等の行方が判明する場合があります。
つまり、良質な探偵業者で、しかも詐欺問題の実績がある場合は、専門範囲を依頼する事で、効率よく問題解決に役立てることが出来るのです。
依頼は慎重に、当事者意識を高く持つ
「今、詐欺被害に遭っている。」「詐欺被害に遭って、何とかしたいと考えている。」という方は、特に業者や士業の方への依頼は、慎重に考えてもらいたいと思います。1つの業者や士業の方への相談や見積りだけではなく、いくつかの業者に問い合わせたり、相談をする事、バックグラウンドが大丈夫なのかという事も含め、良く検討すべきだろうと思います。
「詐欺解決WEB」運営のT.I.U.総合探偵社では、一時期、同業悪質会社から騙された方からの再調査依頼が詐欺関係調査の半数以上を占めたことがございます。その手口はほとんど同じであり、いくつかの悪質業者を確認しています。だからといって、当社へ依頼をして下さいというわけではありません。探偵業者の多くは、真摯に調査に取り組んでいるのであって、調査能力や各詐欺問題への有効性が高いのです。
また、当事者意識が、依頼をした途端に低くなる方もいます。さらには、当初から当事者意識が低い方もいます。どのようなトラブルでも同様ですが、当事者意識が低いと、全ては誰かに頼るのみで、中途から自分の問題ではないような話し振りになったりするのです。これでは、終結したり解決となる問題でも、なかなか解決しないことになってしまいます。自分は当事者であり、被害を受けた、だが、解決したいのだという強い意思を是非とも、お持ちになって頂きたいと考えます。
ここまで長文をお読みになった方は、当事者としての意識は非常に高いだろうと思います。当サイト「詐欺解決WEB」があなたにお役に立てたら、幸いです。